系統と分子系統の間

元ネタはこちら。
http://wiredvision.jp/news/200707/2007070422.html

先にほめる

元ネタとして、きちんとPlos Geneticsの当該記事へリンクが張ってある。マスコミ情報だとそのあたり探しなおす必要が出てくるので、ちゃんとソースへたどれるのは嬉しい。

突っ込みにくい書き方だが

何世代にもわたって母親から受け継がれてきたDNAが、人類の大陸間移動にまつわる大きな謎を解き明かしてくれるかもしれない。それを可能にするのが、『Genographic Project』(ジェノグラフィック・プロジェクト)が新たに構築した大規模なデータベースだ。

ミトコンドリアDNAは基本的に精子からは受け継がれない、ということで、ミトコンドリアDNAの分子系統を調べて母系をたどる、という手法は一般的なものだが、実は手法に批判の余地がある。…というか昔横目で見ていた研究は、この手法で系統をたどっていったら、gdgdな状態をみつけたらしい、とでも表現すべきか。

分子系統、種分化、近縁種と亜種

ひとまずヲレ的理解を。

オサムシの、モデル生物としての可能性

西欧では、オサムシは「歩く宝石」として知られるぐらい、多様な形態を持つ。オサムシは生活環全体を通して羽を持たないものが多いため、地理的変異や種分化のモデル生物としていいのではないか、という意見がある。

ということで、

大澤らは、最初に日本国内の多地点でオサムシを採集し、ミトコンドリアDNAによる系統推定を行った。結果、形態による分類とは大きく異なり、それぞれの地域で取れた個体が、同一系統になるとの結果を得た。

ところが

核内DNA配列で分子系統を調べると、分類体系に近い分子系統になった。系統と分子系統は違うんだ、とつくづく思わされた瞬間。
このあたりで、どないすんねん、と思ってみていたのだが。

雑種の安定性

恥ずかしながら「フィンチの嘴」をやっと読んだ。読んだ方は知っていると思うけど、雑種が最低数世代安定する話が載っている。サンゴもそうだし、オサムシでも雑種だからこうなってるんじゃないの、という話になってるっぽい。

このあたりからすると

ネアンデルタール人と現生人類の雑種、今の段階で排除していいものだとは思えない。そして、単にmtDNAの系統だけ人類の歴史がわかる? いや、イケるのかもしれないけど、ヲレは違うと思う。

余談

オサムシの採集には紙コップに「すしの子」などをいれ、森などの地面にコップの上縁が地表にくるように埋めておくと、中のオサムシが落ちているので、採集にはこの方法がもっとも能率がよい。

やった。懐かしすぎ。とくに「スシノコ」。